研究概要 |
2001年栃木県S園2002年岡山県N園の3〜5歳116名を対象に小児の咬合と重心動揺(平衡機能)を調査した。咬合は,デンタルプレスケールを用い咬合接触面積,平均咬合圧,咬合力を分析した。重心動揺については,自動姿勢解析装置VTS-31:(Patella社)を用いて,Romberg位での,開眼,閉眼時の動揺距離,同面積を各10秒間測定した。また,25m走,立ち幅飛び,ボール投げを測定し,土踏まず形成も計測した。 結果:3歳,4歳,5歳児の咬合接触面積の平均値は,6.3,9.0,10.3mm^2,咬合力は各々242,345,374N,重心動揺面積は,開眼時15.1,11.2,9.1cm^2,同閉眼時17.1,14.0,12.3cm^2,25m走は,8.9,6.9,6.1秒,ボール投げは,4.1,5.5,6.1m,立ち幅飛びは57.5,84.0,98.5cm,土踏まず形成率は33.3,37.2,73.7%であった。乳歯列期の成長発達期にある小児の咬合状態に関して,咬合力や咬合接触面積,平衡機能,運動能力が加齢とともに増加した。年齢間で運動能力や咬合力の大小を比較すると有意差があったが,同年齢内で土踏まずの有無や咬合力・咬合接触面積の大小群で運動能力を比較しても,有意差はなかった。 さらにN保育園61名を対象に,2003年5月および11月に,開眼と閉眼時重心動揺距離と面積を測定し,土踏まず形成を計測した。5月と11月時の土踏まず形成率は,3歳児61.9,65.5%,4歳児,72.6,81.0%,5歳児,80.3,82.9%でいずれの年齢においても,6ヶ月後土踏まず形成率は上昇した。5月時の3歳,4歳,5歳児開眼時重心動揺距離30.6,29.2,25.6cmであった。閉眼時は各々,38.1,35.2,32.9cmであった。重心動揺距離と面積に関して,各年齢とも,開眼時は閉眼時より小さく有意差があった。土踏まず形成群と未形成群の重心動揺距離と面積について,群内で各々開眼時と閉眼時には有意差があった。しかし,土踏まず形成群は未形成群より値は小さいが有意差は認められなかった。 小児期において,成長に伴う身体の発達は,咬合力,重心動揺や土踏まず形成と関連することが示唆された。
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