研究課題/領域番号 |
13672154
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
島津 篤 広島大学, 歯学部, 助手 (10274094)
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研究分担者 |
加藤 幸夫 広島大学, 歯学部, 教授 (10112062)
森下 真行 広島大学, 歯学部, 講師 (90166405)
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キーワード | 歯根膜 / 塩基性線維芽細胞成長因子 / matrix metalloproteinase-3 |
研究概要 |
歯根膜(PDL)由来細胞は、歯周組織の治癒過程において重要な役割りを果たしており、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)はPDL細胞の増殖と分化を制御していることが示されている。以前我々は、PDL細胞はシンデカン等ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)を高レベルに発現し、さらにPDL細胞の増殖と分化に関連してこれらの発現レベルが変動し、かつHSPGは歯周組織の再生におけるFGFの作用を制御する因子として重要な役割りを果たしていることを報告している。そこで今回ヒトPDL細胞を用いプロテオグリカン(PG)の代謝に関与しているmatrix metalloproteinase-3(MMP-3)の誘導に関する影響を検討し、以下の結果を得た。 1.PDL細胞において、bFGFは濃度依存性に増殖を促進し、PG合成を抑制した。 2.PDL細胞において、bFGFは濃度依存性にPGの細胞培地への遊離を促進した。 3.bFGF無処置群ではMMP-3の発現は認められなかったが、bFGFはMMP-3を濃度依存的に促進した。またPCR産物の塩基配列は、ヒトMMP-3の塩基配列と一致した。 4.bFGFによるMMP-3発現は24時間後に最高に達し、72時間後においても検出することができた。 5.bFGFによるMMP-3の発現はU0126処置により発現が抑えられた。 6.bFGFによるERK1/2のリン酸化は20分後に最高に達し、以降減少した。 以上の結果から、歯根膜細胞においてbFGFはMMP-3を介してPGの細胞培地への遊離を促進することが明らかとなった。さらにbFGFによるMMP-3の誘導は、U0126処置により抑制されたことから、MAPキナーゼ経路の関与が示唆された。
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