研究概要 |
実験準備 リコンビナントHSPの調製 HSP70及び90のcDNA(His-tagをつけた)を大腸菌BL21に形質転換した。形質転換した大腸菌をIPTG存在下でリコンビナントHSPを誘導し,その菌体を超音波破砕し,破砕液中のリコンビナントHSPをNi-カラムに結合させた。Ni-カラムに結合させた蛋白は250mMのImidazoleで溶出させ,PBSで透析した。 実験 (a)歯根吸収を起こした被験者と起こさなかった被験者の歯肉溝滲出液を採取し、ストレスタンパク質の発現に違いがあるかどうかをみる。 予備実験として健常な被験者2名の歯肉溝浸出液の採取を試みた。しかしながらELISAによる検出では全く検出されなかった。続いて矯正治療後の患者についても同様に行ってみたが,HSPは検出されなかった。これらの結果は歯肉溝浸出液の量が非常に少ないことが原因と考えられ,現在その採取方法について検討中である。 (b)続いてHSPが実際に細胞に対して刺激源となりうるかどうかについて検討した。発現精製したHSP60,70,90用いていくつかの培養細胞株(MC3T3E-1,ST-2,HL60,U937,RAW264.7)を100ng-10micro-g/mlの濃度で刺激した。代表的なproinflammatory cytokineであるIL1,IL6,TNF-alphaのmRNAの検出をRT-PCRで行ったところ,刺激後15-30分にこれらサイトカインの誘導が確認された。サイトカインが誘導されるHSPの濃度は1micro-g/ml以上であった。LPSの混入がサイトカイン誘導を引き起こしている可能性が否定できないために,現在,界面活性剤を用いて可及的にLPSを取り除くことと,ポリミキシンBで取り除いて実験に用いることを試みている。
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