研究概要 |
リンゴ由来ポリフェノール成分中のプロシアニジンを実験試料とし、1)ハムスター実験う蝕誘発系におけるう蝕予防効果の確認2)歯垢形成酵素(GTF)活性の阻害機構推定に関する実験を遂行した。 1)に関しては3週齢のゴールデンハムスター(計52匹)に対しS. mutans接種を行い,高スクロース含有飼料(Diet2000)による12週間の継続飼育を行った。実験は未処理対照鮮、および実験群としてプロシアニジン0.25%群,フッ化ナトリウム500ppm群の計3群から構成され,実験群では週3回/8週間の試料溶液の歯面洗浄を実施した。飼育終了後は各群のう蝕スコアの算出を行い,プロシアニジン群,フッ化ナトリウム群のう蝕予防効果の比較を行った。その結果、両実験群でのう蝕抑制には有意の差は認められず、抑制効果はほぼ変わらなかった。今回の実験では対照群に重度う蝕の発生が少なかったので、結果を検証中である。 2)に関しては、まずS. mutans菌体およびS. sobrinus培養液からのGTFの効率的な精製法を確立した。具体的には、菌体破砕液もしくは培養液の水性二層分配濃縮画分を試料とし、向流クロマトグラフィーとヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーの2工程で高純度GTFを高回収率で得ることができた。また精製GTFの酵素活性に対する阻害試験において、最強のGTF阻害ポリフェノール化合物は重合度の大きなプロシアニジンであり、その50%阻害濃度は0.6μg/mLであった。さらに精製GTFとプロシアニジン間の相互作用についてIAsys光学バイオセンサーによる解析を行い、その解離平衡定数(K_D)は約10nMと見積もられた
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