研究課題/領域番号 |
13672182
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研究機関 | 福岡医療短期大学 |
研究代表者 |
日高 三郎 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (00084252)
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研究分担者 |
香月 真理子 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 助手 (70300465)
松尾 忠行 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 講師 (00258584)
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キーワード | ヒト唾液 / pH低落法 / タンニン酸 / ポリフェノール / 糖タンパク質 |
研究概要 |
ヒト原唾液(100%)は含有する炭酸ガスのため正確な値が得られなかった。しかし、希釈した唾液(0.3〜10%)では測定中にpH変動が見られなかった。そこでpH低落法による測定には3名の女子、無刺激全唾液の、採集後30分放置して得られた上清、8,700gで3分の遠心で得られた上清、0.3μmメンブレンフィルターで濾過して得られた濾液[最終濃度2%(v/v)]を用いたところ、すべてが誘導時間だけを1.4倍延長させた。濾液では20%(v/v)でも阻害効果が見られなかった。即ち、唾液中の高分子物質が誘導時間の延長に関わっていることを示唆する。さらにACP形成反応とHAP転換反応には影響を与えずに誘導時間だけ延長させるのは他に例がない。一方、高分子物質のうちでも糖タンパクと特異的に結合するタンニン酸(5mg/ml)との反応では全唾液の約40%が沈殿した。この沈殿量とpH低落法によるリン酸カルシウム形成能は比例した。このことは、唾液石灰化能が含有する糖タンパク質量に比例することを強く示唆する。また、タンニン酸の唾液に対する沈殿物形成反応を、緑茶(サンフェノン)や大豆(フジフラボン)など食品中に含まれるポリフェノール成分で比較すると、タンニン酸>サンフェノンGE60>サンフェノンGE90>>フジフラボンP10の順であった。イオンメーターを用いたカルシウムキレート能では10〜30μg/mlの濃度で、フジフラボンP10は有意のキレート活性を示さなかった。タンニン酸と緑茶は30μg/mlの濃度で有意の強いキレート活性を示した。これらのことから、唾液とポリフェノール物質との沈殿反応は強いキレート能に依存していることが示唆された。
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