唾液は年齢、採集時期、最終方法などにより非常に変化しやすいという欠点がある。しかし唾液は1日に1〜1.5リットル分泌され採集が容易であり、被験者に苦痛を与えない利点があるため、今後医科、歯科領域で検体として使用されることが期待されている。著者らはpHメーターを用いた、ヒト全唾液のリン酸カルシウム沈殿物形成抑制の測定法(pH低落法)を関発し理論付けを行ってきたが、当該研究においてはこの方法よりも簡便なpH指示薬を用いたブロモチモールブルー(BTB)方を開発した。この方法で、個人唾液の石灰化能を迅速簡単に知ることができるBTBとNaF添加の反応液に唾液、リン酸溶液、カルシウム溶液を加えて、BTBの色調変化を追跡した。その結果pH低落法での誘導時間と色見本を用いたpHとの間に高い相関が見られた(口腔衛生会誌、53:137-144、2003)また、唾液は含有する糖たんばく質によって抑制することが考えられる。そこで、タンニン酸と唾液との複合体形成能を測定し、BTB法によるリン酸カルシウム沈殿物形成抑制能との相関を見たところ、高い相関を示していた(自然と文化、31、印刷中、2004)。さらに、93名のヒト唾液を用いて測定条件の検討を行ったところ、唾液が1.25%(v/v)と2.5%(v/v)の時、適切な結果が得られた。また、BTB法による結果とう蝕活動性試験結果との間には相関がなかった(自然と文化、31、印刷中、2004)この方法は特許を取得予定なので、さらに個人の口腔診査結果とBTB法による結果との相関についての結果を出してから、商品化する予定。
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