研究概要 |
インフォームドコンセントを十分に行い,同意の得られた患者を対象として,ヒトのインプラント周囲炎関連バイオフィルムおよびインプラントサルカス中のヒーリングアバットメントに形成された細菌バイオフィルムを微細形態学的に検索すると共に,共焦点レーザー顕微鏡によるインプラント周囲炎関連バイオフィルムを3次元的に解析するための試料の調製を行い,以下の結果を得た. 重度インプラント周囲炎に罹患し保存不可能と診断され撤去されたインプラント体(フィクスチャー)を,走査型電子顕微鏡にて観察したところ,球菌や桿菌をはじめとする様々な形態型の細菌により形成されたバイオフィルムがスクリュー部に散在性に観察され,インプラント周囲炎には咬合因子だけでなく,細菌バイオフィルムが関与していやことが形態的に示唆された.また,フィクスチャー埋入後暫間的に装着されるヒーリングアバットメント表面には,初期プラーク構成細菌と称される球菌や線状菌を主体とするバイオフィルムが観察された.バイオフィルム集落は散在性に観察され,インプラントサルカス深部に近づくに従ってその厚みは厚くなる傾向が認められ,フィクスチャー埋入後1-2週間で,インプラントサルカス内に成熟したバイオフイルムが形成されることが明らかとなった. さらに,インプラント周囲炎関連バイオフィルムの構造を焦点レーザー顕微鏡により観察するため,重度インプラント周囲炎患者より様々なタイプの8本のフィクスチャーを採取し,厚さ50μm(計17枚)の薄切切片を外注委託により調製した.現在,FITCやローダミンなどの蛍光染色を施し共焦点レーザー顕微鏡にてインプラント周囲炎関連バイオフィルムを3次元的に検索中である.
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