研究課題/領域番号 |
13672190
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
安部 達也 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (80271112)
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研究分担者 |
安部 由紀子 九州大学, 歯学部附属病院, 医員
相田 宜利 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (10127954)
前田 勝正 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00117243)
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キーワード | 線維芽細胞 / 細胞外マトリクス / テネイシン |
研究概要 |
多層性線維芽細胞シートの形成過程における細胞増殖とフィブロネクチン並びにmatricellular proteins(テネイシン、トロンボスポンジン、オステオネクチン)の細胞外マトリクスへの沈着との関連性について解析した。ヒト正常歯肉由来の線維芽細胞を通法に従いコンフルエントになるまで培養した後、10%ウシ胎児血清含有培地にアスコルビン酸とtransforming growth factor-βを添加して6日間培養して多層性細胞シートを形成した。細胞数をDNA量で測定した結果、細胞数は4日目から増加して6日目で3倍に増えた。細胞周期のS期の細胞をBrdUの取込みで調べた結果、S期の細胞は0日目では検出されず、2日目ではコンフルエントな単層に均一に分布し、4及び6日目では主に細胞集積部の辺縁に局在した。フィブロネクチンは0日目から細胞間にフィブリルを形成して密に沈着し、2日目で沈着量はわずかに増加したが、6日目まで分布パターンに変化は見られなかった。トロンボスポンジンの分布はフィブロネクチンのそれと同様であり、沈着量に大きな変化は見られなかった。オステオネクチンは2日目から細胞内に検出されたが、細胞外マトリクスへの沈着はごくわずかであった。テネイシンは0日目では細胞間に散在性に検出され、2日目からその沈着量は著名に増加してフィブロネクチンと同様に細胞間隙全体に密に分布した。0日目から2日目までテネイシンの沈着量が増加すると共にBrdU陽性細胞数も増加した。以上の結果から、テネイシンの細胞外マトリクスへの沈着は、細胞密度依存性に増殖を停止した線維芽細胞が再びS期へ移行して多層性の細胞シートを形成する際に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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