研究概要 |
In vitro実験系において歯周病病原菌由来LPSおよびプロスタグランジン(PG)に対する線維芽細胞のIL-8産生応答性を検討した。その結果、PGによる前刺激によりLPSに対する応答性が亢進してIL-8産生が増加することが示された。またメラトニンによる線維芽細胞のPG刺激時のサイトカイン産生についてmRNAレベルで検討した。その結果、PG刺激によりIL-1β,IL-8産生は24hで刺激開始1hの約2倍から4倍に増加したが、メラトニンはPG刺激によるサイトカイン産生を有意に減少した。一方、OPG/OCIFのmRNA発現ではメラトニンによる影響は認められなかった。これらの結果から、メラトニンはPGで刺激される線維芽細胞からの炎症性サイトカイン産生を抑制して歯周病治療約として期待されると考えられた。 In vivo実験系では、rhBMP-2により誘導される骨形成時における石灰化誘導性タンパク質phosphophorynの効果について、in vivo実験系において検討した。ラット後背部および前頭部に、HAP/Collagen, BMP-2/HAP/Collagen, BMP-2/HAP/phosphophoryn/collagenの複合体を埋設し、組織学的および生化学的に検索した。ALPase活性を測定した結果、rhBMP-2/HAP複合体群では、移植後1週において高いピークを迎え以降急激に減少していた。rhBMP-2/HAP複合体群では移植後1週では低いものの、2週においてピークを迎えていた。 一方、コントロール群では、全観察期間を通して非常に低い値が得られた。BMP-2/HAP/phosphorphoryn/collagen複合体群の活性は、BMP-2/HAP/Collagen群の約2倍の有意に高い値を示した。また、組織学的検索においてもBMP-2/HAP/phosphophoryn/collagen複合体群の骨量形成は旺盛で、他群の約2倍で、実験エリアの約80%において骨の再生を認めた。以上から、BMP-2/HAP/phosphophoryn/collagen複合体による歯周組織再生治療法への応用・展開が開け、新しい治療法の開発につながることが示唆された。
|