アルケンから容易に調製可能なハロヒドリンまたはα-ゼレノアルコールの水酸基にトリチルシリルエチニルジメチルシリル(TEDMS)基をラジカル受容tetherとして導入し、アトムトランスファー条件下のラジカル反応に付すとendo-環化ラジカルがハロゲンでトラップされたエキソメチレン体が生成し、さらにフッ素イオンまたは適当な塩基で処理すると脱離反応ならびに脱TMS反応が進行する結果、エチニル基の立体選択的導入が可能と考え検討を進めた。 先ず、TEDMS基を導入したフェニルセレノインダノール誘導体をモデル基質として種々検討した結果、当初の予想通りの機構でエチニル基のone-pot導入が可能であることが確認できた。 様々な基質を用いて検討した結果、本反応は、糖等の多官能性化合物を含む5及び6員環のヨードヒドリンに適用可能であることが明かとなった。さらに本反応を鍵段階として、抗HIV活性が期待される2-エチニルヌクレオシドの合成に成功した。 なお、本反応は、ラジカル反応によるエチニル化の初めての例である。
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