1)光学活性ランタノイド錯体を用いる不斉Diels-Alder反応:我々が開発したBINAMIDE・Yb(OTf)_3錯体存在下、ブロモアクリルアミドとシクロペンタジエンのDiels-Alder反応を経て抗腫瘍性抗生物質サルコマイシンの世界初の触媒的不斉合成に成功した。鍵Diels-Alder反応の化学収率、不斉収率はいずれも95%以上であった。又、同様な錯体を用いてフマル酸アミドとシクロペンタジエンのDiels-Alder反応を検討し高収率、かつ高エナンチオ選択的に付加体を得ることに成功した。得られた付加体を用いて小野薬品により開発されたトロンボキサンA_2拮抗剤の触媒的不斉合成にも成功した。本反応にはよりかさ高いBINAMIDEリガンドが効果的であった。 一方、本錯体を用いてDanishefsky型シロキシジエンとフマル酸アミドの不斉Diels-Alder反応を検討したが高い不斉誘導は観測されなかった。しかし、長鎖側鎖を有するBINAMIDEを用いることにより不斉収率の向上が観測されたことから、更なるリガンドの最適化により不斉誘導の向上が期待された。 2)Yb(OTf)_3存在下、NBSを用いるアミノスチレン類の環化反応を検討し高収率にて環化反応を得ることに成功した。本反応においてYb(OTf)_3はNBSの活性化に寄与することが判明した。 3)Fischerインドール合成の変法を用いるピロロインドール合成及びジアステレオ選択的Pictet-Spengler反応におけるランタノイド金属の触媒活性を検討した。
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