研究概要 |
1)新規軸不斉キラル配位子BINAMIDEとYb(OTf)_3より調製されたキラルYb錯体を用いシクロペンタジエンと種々のジエノファイルとの不斉Diels-Alder反応を検討した。ブロモアクリロイルイミドとの反応では速やかに付加体が生成し(収率97%、98%de,93%ee)、得られた付加体は10工程、全収率6%にて抗腫瘍抗生物質ザルコマイシン前駆体であるシクロザルコマイシンに変換された。光学活性シクロザルコマイシンの合成はこれまでキラル補助基を用いるジアステレオ選択的な手法により得られていたが今回初めてエナンチオ選択的触媒的合成法が確立した。 又同様な反応条件にてフマル酸誘導体もシクロペンタジエンと反応し光学活性付加体を生成した(収率83%、52%de、84%ee)。得られた付加体は数工程を経て小野薬品により開発されたTXA_2アンタゴニストONO-8809の合成中間体に変換された。さらにこれまで通常のDiels-Alder反応が困難であったシロキシジエンとの反応を検討した所、不斉収率は低いものの(13%ee)高収率にて環化付加体を与えた。 2)触媒的不斉反応の開発を指向して、新たにランダノイド金属を触媒とする反応の開発を検討した。その結果、新規アリル位ハロゲン化反応、イミンを用いるPictet-Spengler反応を開発することができた。今後これらの反応の不斉化を検討する予定である。
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