本年度は、まず、7員環オキサチアゼピン骨格の構築法のモデル反応を行った。2-インドリルエタノールに対して、窒素原子をニトロベンゼンスルホニル基で活性化し酸素原子をメチルチオメチル基で保護したヒドロキシルアミンを光延反応で導入した。次に、この化合物と3-シロキシピオンアルデヒドとをピクテットシュペングラー反応により縮合させN-メチルチオメトキシテトラヒドロβ-カルボリン骨格を構築した。続いて、メチルチオメチルエーテル基を塩化スルフリルで処理することによってクロロメチルエーテル基へと変換し、このものとチオ酢酸のナトリウム塩を反応させることによって、アセテートとして保護されたチオール部位を導入することに成功した。続いて、シロキシ基をメシルオキシ基へと変換し、アセテートを加メタノール分解すると望みの環化反応が進行し7員環オキサチアゼピン骨格を構築することに成功した。以上の様にモデル反応の基質での7員環骨格の構築に成功したので、次にセリンより導いたGarnerアルデヒドのピクテットシュペングラー反応を用いて環化前駆体となるN-メチルチオメトキシテトラヒドロβ-カルボリン骨格を検討した、問題となるピクテットシュペングラー反応のジアステレオ選択性は、用いる酸および溶媒の種類によって大きな影響を受け、ブレンスデット酸としてクロル酢酸を溶媒としてはトルエンを用いることでもっとも高い選択性で望みのジアステレオマーを与えることが判明した。現在、これらの予備的検討をもとにユーディストミンCの全合成研究を行っている。
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