十数年にわたり沖縄で採集を続け、多くの植物材料が入手できた現在がランダムスクリーニングには格好の時期である。ラットの白血病細胞を用いて、植物エキスのヒスタミン遊離阻害活性を測定した。クマツヅラ科植物ヒルギダマシとトウダイグサ科植物グミモドキに抗アレルギー括性を見出し、更に沖縄産資源植物探索の一環として、トウダイグサ科植物の成分検索を広範囲に行っており、カキバカンコノキの成分の検索を行った。数種のフラボノイドが得られ、それらの構造は分光学的方法によって決定された。またメガステイグマン配糖体も得られ、一つは骨格内にアレン構造を有する特異な化合物であった。分光学的には最終構造を決定するに至らず、最終的には重原子を含んだ誘導体にして、X-線結晶解析法を用いて行った。タイミンタチバナからは数種のメガステイグマン配糖体がアルブチンと共に得られた。メガステイグマンのアグリコン部の絶対構造はMTPAエステルに導き、モッシヤー変法を用いて行った。本植物に於けるアルブチンの含量は非常に高く、化粧品として使われるアルブチンの良い資源となりうる。 ホソバワダンからはエキソメチレンラクトンを有するセセキテルペンの配糖体がえられた。エキソメチレンラクトンには抗菌活性が知られており、ホソバワダンの幼葉は刺身の妻として用いられている。沖縄でも料理の妻が見栄えを良くする添え物ではなく、実際の利用と含有物の活性が符牒した点は興味深い。 一回の採集で、5から6種を集めており、更に年間二回の採集を重ねており、今後更にランダムスクリーニングによりターゲットを絞り、活性を有する物質の探索に向けて鋭意努力する。
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