研究概要 |
1.【目的】東アジア地域(日本,中国,韓国,ベトナムなど)の中国系伝統医学を用いる地域の公定書あるいは公定書に準ずる書物などの記載事項について,用語・基源植物などの表記に関するハーモナイゼーションを図ることを目的としている. 2.【本研究の実施事項】初年度である本年度は日中間の公定書記載生薬類の名称,発音,表記法,基源植物の比較研究を行った. (1)方法:対象:日本薬局方(JPXIV,第2部,2001年),日本薬局方外生薬規格(1989年・増補版),中華人民共和国葯典(国家葯典委員会編,化学工業出版社,2000年版)を対象とし,記載事項についてデーター入力と解析を行った.日本薬局方および日本薬局方外生薬規格には生薬の項目は全部で250種あったが,粉末生薬やデンプン等を除外して対象を190種とした.中国では全項目数534種であったが,天然由来化合物や細胞内容物などを除外し504種を対象とした.また附録IIIに未収載の薬材及炮製品127種も参考検討対象とした. (2)結果:生薬名を比較した結果,相違がもたらされる要因により,(1)同一名称・同一基原,同一部位,(2)同一名称・別基原,同一部位,(3)類似名称・別基原,同一部位,(4)別名称・同一基原,同一部位,(5)別名称・同一基原・別部位,(6)別名称・別基原・同一部位,(7)別名称・同一基原・同一部位などのカテゴリーに分類することができた.更に使用法等においても相違を見ることが出来た.上記の成果については「東アジア地域における公定書記載生薬類の比較研究(第1報)」という演題で日本薬学会第122年会にて報告する(26P-II-139). 3.【来年度の実施予定】韓国に関してはデーターベースの基本入力を完了している.これにベトナムを追加する作業を行っている.また来年度は生薬学会での報告や学術誌などへの投稿を予定している.併せて調査結果を中国,韓国,ベトナム,その他のアジア諸国へ報告し,追加情報や意見などをとり入れて公表する予定である.
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