1.オリゴペプチドによるモデルペプチドのαヘリックス構造の安定化作用が燐酸緩衝液中に於いて起きるかどうか検討した。EK17(Ac-AEAAAAEAAAKAAAAKA-NH_2)及びAAA8-10IFM置換したIFM17に対して、Ac-EIFMK-NH_2およびAc-KIFME-NH_2はEK17のαヘリックス構造を安定化した。しかし、βシート構造を取ったIFM17に対して、これらのオリゴペプチドは無力であった。オリゴペプチドによるモデルペプチドのαヘリックス構造の安定化には、モデルペプチドがαヘリックス構造を取る必要がある事が分かった。 2.PrP^cからPrP^<Sc>への変化に伴って、βシート構造に変化すると考えられるPrP(129-154)およびPrP^cからPrP^<Sc>への変化を介在するProtein Xの結合部位近傍に位置するPrP(192-213)の構造的性質を種々の界面活性剤を用いて検討した。PrP(129-154)は、界面活性剤の種類に関わらずβシート構造を形成し、PrP^cからPrP^<Sc>への変化が起こりやすい領域であった。PrP(192-213)は、界面活性剤の種類に関わらず濃度に応じてαヘリックス構造の増加が観測され、Protein Xとの結合に対して構造の多様性を持ち合わせていることが分かった。 3.NACの二次構造に影響を与えるオリゴペプチドを探索した。90%TFE中のNAC(19-35)に対して、オリゴペプチドAc-ETVK-NH_2及びAc-KTVE-NH_2はαヘリックス構造を大きく(約10%)減少させたが、90% TFE中のNAC(1-35)の二次構造に対しては、全く影響を与えなかった。しかし、水溶液中のNACに対して、チオフラビンTを用いた蛍光測定の結果、Ac-ETVK-NH_2はNACのアミロイド線維化を促進した。 4.PrP(129-154)に対するアンチセンスペプチド3'→5'PrP(129-142)との相互作用を燐酸緩衝液中でCDスペクトルを用いて検討した。しかし、両者の間に特異的な相互作用は見られなかった。
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