研究課題/領域番号 |
13672254
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
勝 孝 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40112156)
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研究分担者 |
永松 朝文 岡山大学, 薬学部, 助教授 (40155966)
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キーワード | イオン選択性電極 / 分子認識化学 / 膜透過 / 大腸菌外膜 / ポリアミン / フェンテルミン電極 / エチルアンモニム電極 / イオノフォア |
研究概要 |
今年度は、特に、生理活性物質としてポリアミンを取り上げ、「イオン電極法による大腸菌外膜とポリアミンとの相互作用の解析」を中心に研究を進めた。この解析法では、テトラフェニルホスホニウムイオンとカリウムイオンの動き及び外膜構造の安定化に寄与するカルシウムイオンの遊離を指標として、大腸菌外膜に対する薬物作用をその場で視覚化して捉えている。初めに、大腸菌の外膜透過性増大作用が知られているポリミキシンBノナペプチド(PMBN)を用いて検討した。PMBNを大腸菌に作用させると、テトラフェニルホスホニウムイオンの取り込みが観察された。テトラフェニルホスホニウムイオンは外膜透過性が増大すると細胞質膜に到達し、膜電位依存的に細胞質に取り込まれることが知られている。この取り込みはカルシウムイオンの遊離とともに増大したことから、PMBNは外膜構造安定化に寄与するカルシウムイオンの遊離を引き起こしたために外膜透過性が増大したことを示した。さらに、PMBNはハチ毒メリチンの大腸菌細胞質膜への作用を促進することを、細胞質に存在するカリウムイオンの流出を通して観察することができた。本法を利用して「大腸菌外膜透過性を増大する新規薬物」を探索した。PMBNが塩基性かつ両親媒性であることと対応して、数個のアミノ基及び疎水性基をもつ薬物(例えば、メトクトラミンなど)が大腸菌の外膜透過性を増大することが見い出された。 その他、抗精神薬として知られているフェンテルミンを認識するセンサー開発、あるいは親水性基と疎水性基の両方を認識する「カリックスアレーン誘導体」を用いたエチルアンモニウム電極の開発にも成功した。
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