研究概要 |
(1)本研究では、モレキュラーインプリンティング法(MI法)により人工レセプターの合成を行った。認識対象分子をキナアルカロイドの一種で抗マラリア薬であるシンコニジンとし、これをテンプレート分子としてポリマー合成系中に添加し、そのテンプレート分子を取り囲むように機能性モノマーと相互作用させながら架橋性ポリマーを合成する。機能性モノマーには、我々が以前シンコニジンと相互作用して分光学的変化が生じることを発見した鉄ポルフィリン誘導体を用いた。 その結果、1)ポリマー中にシンコニジンを型取ったテーラーメイド結合部位が形成された 2)ポリマー中の結合部位にはポルフィリン環が配置され、シンコニジンが結合することで、分光学的な変化を生じた。 このようにこの人エレセプターはシンコニジンと特異的に結合し、この特異的結合に伴って、分光学的に変化を示すことが示され,分子センサーとしての応用の可能性が示された。 (2)すでに開発済みの自動ポリマー合成ロボットを用いて、様々に鉄ポルフィリンの量比を変えたシンコニジン人工レセプターを小型バイアル瓶に多数合成し、それぞれのポリマーの結合特性を評価した。その結果、シンコニジン1に対し、鉄ポルフィリンが1、補助機能性モノマーのメタクリル酸が6の量比で合成したポリマーが選択性、親和性とも優れていることがわかった。このように、自動ポリマー合成ロボットによるポリマーの迅速なパラレル合成が可能なことから、センサーアレイプレート構築の可能性が示唆され、実現可能性が示された。
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