(1)インプリントポリマーの合成は、テンプレートとしてシンコニジン(CD)、機能性モノマーとして、ビニル化鉄ポルフィリン錯体およびメタクリル酸、架橋剤エチレンジメタクリレート、開始剤、クロロホルムを用い、熱重合させて行った(IPPM)。対照ポリマーとしてメタクリル酸を含まないIPPも合成した。CDの吸着能を評価したところ、IPPMに対する吸着能はIPPに比べて大きかった。このことは、2種類の機能性モノマーが協同的に働くことによって、インプリント効果が増大することを示している。スキャッチャード解析からCDの解離定数は7.33×10^<-6>Mと推定した。 (2)IPPMに、0〜1.0mMのCD、そのジアスレレオマーのシンコニン(CN)のジクロロメタン溶液を加え、25℃で15時間インキュベートした。この懸濁液の紫外可視吸収を測定すると、鉄ポルフィリンのソーレ帯とQ帯で、CDの濃度が高くなるにつれ、極大吸収の吸光度が上がることがわかった。CDの方が吸光度の変化が大きく、CNに比べよりポリマーに吸着していると考えられる。CDの濃度が低い領域での大きな吸光度の変化は特異的な吸着に基づいており、濃度が高くなると飽和していくことが観測されている。 (3)すでに開発済みの自動ポリマー合成ロボットを用いて、様々に金属ポルフィリンの量比を変えたシンコニジン人工レセプターをマイクロプレートの各ウエル内に合成し、それぞれのポリマーの結合特性を評価した。その結果、シンコニジン1に対し、鉄ポルフィリンが1、補助機能性モノマーのメタクリル酸が6の量比で合成したポリマーが選択性、親和性とも優れていることがわかった。このように、自動ポリマー合成ロボットによるポリマーの迅速なパラレル合成が可能なことから、提案したセンサーアレイプレート構築の実現可能性が示された。
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