研究課題/領域番号 |
13672261
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
鮫島 啓二郎 城西大学, 薬学部, 教授 (00072413)
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研究分担者 |
新津 勝 城西大学, 薬学部, 助教授 (00077976)
合田 ひとみ 城西大学, 薬学部, 助手 (30170690)
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キーワード | ポリアミン / スペルミジン合成酵素 / trans-4-methylcyclohexylamine / 阻害剤 / マススペクトロメトリー / 安定同位体 / 再生肝 / PCNA |
研究概要 |
前年度までに、IS-MSによるポリアミン測定法を、多数の生体試料に適用して、微量で正確・迅速な測定法に改良してきた。また、in vivoでのスペルミジン合成酵素(spd-syn)阻害剤として、trans-4-methylcyclohexylamine (4MCHA)が現状で最も有効であることを示し、それをラットに連続経口投与すると、組織中スペルミジン(spd)レベルが顕著に下げられ、スペルミン(spm)レベルが緩やかに上げられたラットの調整が可能なことを報告した。このようなspd、spmレベルの変化は、自然界では、一般的に細胞増殖がおさまって行くときに見られる変化である。本年度はこのようなモデルラットを用いて、同時投与spdの影響、及び細胞増殖系として肝再生に及ぼす影響を調べた。 4MCHAとspdの同時投与:4MCHAによりspdレベルが下げられ、投与spdの取り込みが観察できるようになった。その結果、組織中へのspdの取り込みは緩やかで、4MCHAにより本来高められるべき組織中spmの合成が少量のspdにより抑制されたため、全ポリアミンレベルが減少し、体重増加の度合いにはむしろ4MCHA単独投与より好ましくない影響が見られた。なお、同時投与spmの影響は認められなかった。 肝再生に及ぼす効果:増殖の度合いを見る一つの指標として、体重に対する再生肝湿重量の比を見ると、明らかに4MCHA投与群の方が低く、増殖が抑制されていた。ポリアミンの中ではspdレベルの変動が特に目立ち、術後1日目の急激な上昇の後、コントロール群では2日目も上昇し続け、5日目でも高値を保っていたのに対し、4MCHA投与群では2日目から下降に転じ、5日目ではコントロール群の70%まで下がった。2、5日目の再生肝についてproliferating cell nuclear antigen (PCNA)免疫染色を行い、全肝細胞数に対するPCNA陽性細胞数比を両群で比較したところ、4MCHA投与群ではコントロール群のおよそ半分程度となり、4MCHAにより再生肝の増殖が抑制されることが明らかとなった。
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