研究課題/領域番号 |
13672261
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
鮫島 啓二郎 城西大学, 薬学部, 教授 (00072413)
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研究分担者 |
新津 勝 城西大学, 薬学部, 助教授 (00077976)
合田 ひとみ 城西大学, 薬学部, 助手 (30170690)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2004
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キーワード | ポリアミン / スペルミジン合成酵素 / 阻害剤 / IS-MS / 再生肝 / PCNA / 安定同位体 / トランス-4-メチルシクロヘキシルアミン |
研究概要 |
本研究は、in vitroでスペルミジン合成酵素(spd-syn)を阻害した時のスペルミジン(spd)の減少及びスペルミン(spm)の増加が自然界で細胞増殖が停止していくときに見られる方向性に類似していることから、in vivoでspd-synを阻害した時の細胞増殖に及ぼす影響を調べるために行ったものである。まず、IS-MS法をポリアミントレーサー実験法やジアセチルスペルミン(Ac_2-spm)定量法に応用・拡張していく過程で、数多くの生体試料を対象として、含まれるポリアミンを微量で正確・迅速に測定できる方法に改良された。阻害剤の開発では、spd-synのプトレシン結合部位を標的としてn-ブチルアミン(BA)及びtrans-4-メチルシクロヘキシルアミン(4MCHA)アナログを各種デザイン・合成し、IC_50値を比較検討する一方、哺乳動物spd-synの三次元構造をほぼ明らかにした。その結果、活性部位構造に基づく阻害剤のデザインは難しいことがわかり、IC_50値の最も低い5-アミノ-1-ペンテン(APE)と4MCHAをin vivo実験用の候補とした。ラットへの経口投与実験でAPEは効果を示さず4MCHAが効果を示したので、4MCHAを用いることとした。ラットに4MCHAを毎日1回一週間経口投与したところ、投与量依存的に、体重増加の度合いは低められ、各組織中spdの顕著な減少とspmの緩やかな増大が見られた。一ヶ月の連続投与でも基本的には同じで、spm/spd比が高められたモデルラットを調整することができた。モデルラットにspdを同時投与するとspdの取り込みの様子やspm合成の抑制などが観察され、ポリアミンの生理的意味を調べるために有用であることがわかった。つぎに、再生肝を用いてモデルラットとコントロールラットで肝再生の過程を比較したところ、モデルラットでは肝再生が抑制されており、それがspdレベルと密接に関連することを示した。PCNAの測定結果からも4MCHAによる増殖の抑制は証明された。以上の結果は、これまで関心が薄かったspd-synの阻害が細胞増殖の抑制に関わることを初めて示唆したものである。
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