ニワトリ輸卵管より調製した卵白中の糖タンパク質であるオボグリコプロテイン(OGCHI)遺伝子のクローニングをおこない、OGCHIタンパク質のアミノ酸配列を明らかにするとともに、大腸菌・組み換えOGCHIを調製した。 1.ニワトリ卵白より調製したエタノール粉末を酢酸緩衝液(pH4.6)に溶解後、SP-Sepharose FFカラムに2回繰り返し負荷することにより、OGCHIを分離・精製した。このうち、一部をプロテインシーケンサーにかけ、N-末端以下15残基のアミノ酸を決定した。 2.OGCHIタンパク質は、リシルエンドペプチダーゼ、トリプシンおよび臭化シアンを用いて、それぞれ特異的にペプチド結合を切断し、得られたペプチド断片の部分アミノ酸配列をもとに、BLASTホモロジー検索から4つの相同性のあるESTを得た。それらの配列から適切なプライマーを製作し、ニワトリ輸卵管のcDNAからPCRにより、OGCHI遺伝子を得た。PCRで増幅した620bpのDNA配列中に、203残基のアミノ酸からなるORFが存在した。相同解析およびOGCHIタンパク質のペプチド断片のN-末端アミノ酸分析結果から、卵白中のOGCHIは183残基のアミノ酸からなり、2個のS-S結合をもつことが明らかとなった。また、ヒトのα_1-酸性糖タンパク質(AGP)は181残基のアミノ酸と2個のS-S結合を有していることから、OGCHIは構造的にAGPと類似していると考えられた。 3.21残基のN末ペプチドを除いたOGCHIタンパク質を発現するように、pET32ベクターにOGCHI遺伝子を挿入し、大腸菌・組換えOGCHIタンパク質を得、His-tagアフィニティーカラムで分離・精製した。
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