研究概要 |
1)MM-1のc-Myc機能抑制機構 MM-1結合タンパク質として転写co-repressorであるTIF1βが同定された.MM-1-TIF1β複合体にはc-Mycに加え,HDAC1,mSin3が含まれており,MM-1のc-Mycの転写能抑制はHDAC1阻害剤であるTSAにより阻害された.また,TIF1βのMM-1結合領域のみはdominat negative体として作用し,MM-1のc-Mycの転写能抑制が解除されるばかりでなく,数十倍ものc-Mycの転写活性と軟寒天中でのコロニー形成能を示した.このことから,MM-1はc-MycとHDAC転写co-repressorを介在する因子であることが明らかとなった.更に,c-Myc-MM-1ターゲット遺伝子の探索をDNAマイクロアレイ法で解析し複数の候補遺伝子を見出した. 次に,MM-1結合タンパク質としてユビキチン分解系のタンパク質であるelonginB,proteasome subuinits Rpt3,Rpn12が同定され,c-MycはMM-1導入により分解され,アルギニン変異体はその活性が低下していた.さらに,c-Mycのユビキチン化に必要とされる58番目のスレオニンの変異体,及びMyc boxI欠損c-MycもMM-1により分解され,c-Mycのユビキチン化がMM-1により抑制されることより,MM-1はc-Mycのユビキチン非依存性分解系を活性化している可能性が考えられた. 2)MM-1アイソフォーム MM-1は癌化のホットスポットであるヒト染色体l2ql3に位置し,6つのエキソンからなる.スプライシングの違いにより,MM-1α,-β,-γ,-δの4種が存在し,更にN末13アミノ酸が14番染色体由来の融合型MM-1(Fu-MM-1)が存在し,いずれもc-Mycとの結合能を有しているが,各組織での発現が異なり,MM-1α,-γは核に1MM-1δはリソゾームに,他は核と細胞質に局在した.
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