研究概要 |
1)ヒト電位依存性N型カルシウムチャネルα1Bサブユニットの新しいスプライシングバリアント2種類を発見し,その機能解析を行った。これらバリアントはいずれもヒト脳に広範に発現しており,不活性化の電位依存性が全長チャネルとは大きく異なっていた。また,1つのバリアントはペプチド毒素に対する感受性が10倍程度弱く,薬理学的な性質の異なるチャネルを形成すると考えられた。2)ウサギP/Q型(α1A)カルシウムチャネルが受容体から受ける抑制的制御の細胞内機序を解析した。電気生理学的解析と生化学的解析を組み合わせた結果,GTP結合タンパク質αoサブユニットのN末端がα1AチャネルC末端の細胞内領域に結合し,膜電位では影響されないタイプのチャネル抑制に関与していることが明らかになった。3)新規抗痴呆薬FK960のカルシウムチャネルヘの作用を解析し,この薬物がN型チャネル電流を特異的に増強すること,また,その増強はprotein kinse Cの活性化と類似した作用であることを見出した。4)トノサマバッタ由来の新規ペプチドPMP-D2がカルシウムチャネルに与える影響について解析を行い,このペプチドがR型チャネルを選択的に抑制することを見出した。ペプチド類似体の作用を解析した結果,PMP-D2の塩基性アミノ酸残基およびシスチン架橋による立体構造が薬理活性に重要であることを明らかにした。
|