研究概要 |
(1)P/Q型Cav2.1チャネルが受容体から受ける抑制的制御の細胞内機序を解析した結果,GTP結合タンパク質α。サブユニットのN末端がCav2.1チャネルC末端の細胞内領域に結合し,膜電位では影響されないタイプのチャネル抑制に関与していることが明らかになった。(2)TRP5チャネルの開口にはイノシトール3リン酸受容体の活性化が必要であることを明らかにした(3)ヒト電位依存性N型Ca^<2+>チャネルCav2.2サブユニットの新しいスプライシングバリアント2種類を発見した。これらバリアントはいずれもヒト脳に広範に発現しており,不活性化の電位依存性が全長チャネルとは異なっていた。また,1つのバリアントはペプチド毒素に対する感受性が15倍弱く,生体内で薬理学的な性質の異なるチャネルを形成すると考えられた。(4)トノサマバッタ由来の新規ペプチドPMP-D2がR型チャネルを選択的に抑制することを見出した。ペプチド類似体の作用の解析から,PMP-D2の塩基性アミノ酸残基およびシスチン架橋による立体構造が薬理活性に重要であることが明らかになった。(5)新規抗痴呆薬FK960がN型チャネル電流を特異的に増強すること,また,その増強はprotein kinse Cの活性化と類似した作用であることを見出した。(6)新規鎮痛薬ONO-2921がヒトN型およびR型チャネルを選択的に抑制することを見出した。この作用はチャネル頻度依存的であり,薬物が不活性化チャネルに対して選択的に作用することが明らかになった。(7)Ca^<2+>を透過する新しいチャネルであるTRPに着目し,ラット大脳皮質初代培養ニューロンではTRPC3はATP受容体刺激によるCa^<2+>流入に関わっていること,また,TRPM2は過酸化水素刺激によるCa^<2+>流入に関わっていることを見出し,神経系における新たなカルシウム流入阻害薬の作用点として,これらチャネルが候補分子となりうることを明らかにした。
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