研究課題/領域番号 |
13672280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南 雅文 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (20243040)
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研究分担者 |
名村 尚武 国立循環器病センター研究所, 放射線医学部・心血管撮影研究室, 研究室長 (30311450)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ケモカイン / ケモカイン受容体 / 脳虚血 / 神経細胞死 / アストロサイト / ミクログリア / 脳スライス培養系 / MCP-1 |
研究概要 |
脳虚血時には、グリア細胞や白血球の傷害部位への集積および活性化が観察される。これら細胞は脳虚血による神経細胞の傷害形成と傷害からの回復の両方に深く関与している可能性があり、脳内におけるグリア細胞や白血球の活性化および遊走機構を解明しその制御を可能にすることは、虚血性脳細胞傷害の治療に役立つことが期待される。 本研究では、まず、マウス中大脳動脈閉塞モデルを用い、ケモカイン受容体CCR2およびCCR5サブタイプに選択的な非ペプチド性拮抗薬TAK-779の脳室内および静脈内投与の効果を検討し、いずれの投与経路においても、TAK-779が脳細胞保護作用を示すことを明らかにした。さらに、TAK-779の作用機構を明らかにするため、虚血負荷後の脳実質内への好中球あるいはマクロファージ浸潤およびミクログリア活性化に対するTAK-779静脈内投与の効果を検討した。虚血負荷2日後における脳実質内好中球数はTAK-779投与群とvehicle投与群との間に有意な違いは見られなかったが、マクロファージ/活性化ミクログリアの数はTAK-779投与により有意に減少した。この結果より、TAK-779の脳細胞保護作用の少なくとも一部はマクロファージ/ミクログリアの浸潤・活性化の抑制による可能性が示された。 さらに、虚血時に脳内での発現が観察されるケモカインであるMCP-1の発現調節機構に関して、大脳皮質-線条体領域の脳スライス培養系を用いた検討を行い、ATPの加水分解抵抗性アナログであるATPγSが培養脳スライス中のアストロサイトに直接作用してMCP-1産生・遊離を惹起すること、一方、NMDAは、最初に神経細胞に作用し、損傷あるいは過剰興奮した神経細胞から発信される何らかの情報が、アストロサイトにおけるMCP-1産生・遊離を惹起することを明らかにした。
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