研究課題/領域番号 |
13672282
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
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研究分担者 |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50263306)
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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キーワード | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 標的指向性 / RGD / CAR / インテグリン / 樹状細胞 / メラノーマ細胞 |
研究概要 |
本研究は、アデノウイルスの感染機構を考慮し、アデノウイルス表面の蛋白質を改変することにより、標的細胞選択性を制御し、従来遺伝子導入が困難であった細胞・組織への適応も可能なベクター及び標的細胞指向性を有したベクターを開発しようとするものである。アデノウイルスベクター(Ad)の標的細胞への遺伝子導入は、ウイルスのファイバーが細胞表面上のCAR(coxsackie-adenovirus receptor)に結合し、引き続き、ウイルスのペントンベースのArg-Gly-Asp(RGD)モチーフがインテグリンに結合することにより成立する。そこで、本年度はまず従来よりAdによる遣伝子導入に抵抗性を示すと言われている樹状細胞やメラノーマ細胞のCAR並びにインテグリンの発現をRT-PCRで確認した。その結果α_vβ_3あるいはα_vβ_5インテグリンの発現は認められるものの、CARの発現が低下あるいは欠損していることを明らかにした。これらの結果から、Adによる遺伝子導入に対する樹状細胞やメラノーマ細胞の抵抗性がCARの発現低下によるものであり、α_vβ_3あるいはα_vβ_5インテグリンを標的とするAdを作製することにより、これらの細胞への遺伝子導入効率を向上させうることが示唆された。そこで、樹状細胞ならびにメラノーマ細胞への効率的ベクターは、Adのペントンベース部分のRGDモチーフがインテグリンに高親和性を持つことに着目し、感染の第一段階に働くファイバーにRGDを導入することでCARを介さずに感染できると考えられる。その結果、RGD-AdはCARの発現が認められない細胞に対して、従来型Adと比較して高い遺伝子導入効率・発現効率を示した。現在、RGD-Adの遣伝子導入ベクターとしての有用性について検討している。
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