研究課題/領域番号 |
13672287
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高野 幹久 広島大学, 医学部, 教授 (20211336)
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研究分担者 |
永井 純也 広島大学, 医学部, 助手 (20301301)
村上 照夫 広島大学, 医学部, 助教授 (20136055)
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キーワード | クロライドチャネル / デント病 / エンドサイトーシス / エンドソーム内酸性化 / 蛋白尿 / 腎尿細管 / 遺伝性腎疾患 |
研究概要 |
デント病は、低分子蛋白尿、高カルシウム尿症などを伴うX染色体性劣性の遺伝性腎疾患である。近年、クロライドチャネルClC-5をコードする遺伝子CLCN5が、デント病の原因遺伝子であることが報告された。ClC-5の主な発現臓器は腎で、エンドソーム膜に存在し、エンドサイトーシス過程に重要なエンドソーム内酸性化に関わっているものと考えられている。一方、腎で糸球体ろ過された蛋白は、近位尿細管上皮細胞内にレセプター介在性にエンドサイトーシスされる。従って、ClC-5の発現・機能の欠損は、エンドソーム内酸性化障害、ひいては蛋白のエンドサイトーシス障害、蛋白尿の発症につながるものと考えられるが、現在のところ不明である。本研究では、蛋白のエンドサイトーシスに果たすClC-5の役割について検討した。 ClC-5の推定アミノ酸配列をもとに合成したペプチドを抗原として作成した抗ClC-5抗血清を用いて、腎皮質及びOK細胞における発現を解析したところ、両者でClC-5の発現が認められた。そこでOK細胞を用い、レセプター介在性エンドサイトーシスによって取り込まれることが知られているFITC-アルブミンの細胞内移行に及ぼすクロライドチャネル阻害剤NPPB及びDPCの影響について検討した。その結果、クロライドチャネル阻害剤処理により、vacuolar H^+-ATPase阻害剤であるbafilomycin A1処理と同等に、FITC-アルブミンの細胞内移行量は低下した。一方、液性エンドサイトーシスのマーカーであるイヌリンの取り込みに対しては、NPPB及びbafilomycin A1いずれも影響を及ぼさなかった。従って、ClC-5は腎近位尿細管上皮細胞に存在し、糸球体ろ過を受けた蛋白の上皮細胞内への取り込み(エンドサイトーシス)に重要な役割を担っていることが示唆された。
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