研究概要 |
本研究は,レギュカルチン(regucalcin)遺伝子導入ラットを用いて,これまでに得られた本蛋白質の細胞機能調節に関する知見をもとに,生体調節系での新しい生理作用を解明することを目的にしている。本年度においては,レギュカルチントランスジェニック(RC-Tg)ラットにおける骨量減少のメカニズム,心筋プロテインホスファターゼ活性の変動及び血清中代謝成分の変動について調べた。 1.RC-Tgラットの大腿骨組織には,RCが発現増加しており,骨髄細胞のその発現増加を見出した。RC-Tgラットの加齢に伴って,骨髄細胞から破骨細胞への分化・形成が著しく亢進していることが明らかになった。さらに,骨塩溶解を促進する副甲状腺ホルモンの骨髄細胞から破骨細胞への分化・形成促進作用がRC-Tgラットにおいては有意に高められた。 2.心筋プロテインホスファターゼ(心筋の収縮の調節に関係した酵素)の活性がRC-Tgラットにおいては有意に折制されることが見出され,レギュカルチンが心機能の調節に関与していることが示された。 3.RC-Tgラットの血清成分(アルブミン,トリグリセライド,HDL-コレステロール,グルコース)の変動を調べた。加齢に伴って,血清アルブミン,トリグリセライド,HDL-コレステロール値が著しく上昇することが見出された。
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