研究概要 |
1)トランスジーンの構築 マウスPHBPcDNAのコーディング領域1.6kbpを含むEcoR Iで切り出された部分をcytomegalovirus enhancer, chiken β-actin promoter, rabbit β-globin 3-flanking sequenceをもつpCAGGSベクターに挿入しセンス方向のクローンを作製し、これをpCAPHGSとした。 2)COS-7細胞、CHO細胞を使ったPHBP発現の確認 PHBPの発現が上記で作製したトランスジーンから可能であるかを確認するため、構築したトランスジーンをCOS-7細胞、CHO細胞にLIPOFECTAMINE2000(Invitrogen社)を用いてトランスフェクションし、48時間後に回収した細胞を用いてウエスタンブロット法によりPHBP発現を解析した。その結果、両細胞でPHBPの発現を確認することができた。 3)トランスジェニックマウスの作成と解析 構築したpCAPHGSをC57BL/6マウス受精卵にマイクロインジェクション法により導入し、それらを仮親マウスの卵管内に移植して出産させた。マウスの尾からゲノムDNAを抽出しPCRによってトランスジーンが導入されているかどうか確認した。その結果、1系統のトランスジェニックマウスを得た。そのマウスをF0とし、F0から生まれたマウスをF1とした。F1に関してWtのマウスと比較したところ、外見上の変化、異常行動はなく、体重の増減も見られなかった。導入した遺伝子を持つマウスに関して雄・雌の偏りは見られなかった。妊娠・出産に関しては、妊娠はするが出産する数がWtと比較して少ない傾向が見られた。トランスジェニックマウス同士を交配させたが生後1〜2日で死亡した。しかし、出産した回数が一回なので今後の更なる検討が必要である。今後、ホモ体のトランスジェニックマウスを作成すると共に、トランスジェニックマウスの発生過程における造血系、肝形成の異常の有無を病理解剖学的に調べたり、肝部分切除の肝再生における肝再生時間の変化等を測定することにより、PHBPの生体内での役割が詳細に明らかになることを期待している。
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