研究課題/領域番号 |
13672304
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 教授 (40130009)
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研究分担者 |
須原 義智 帝京大学, 薬学部, 助手 (30297171)
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 助手 (60234217)
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キーワード | カンナビノイド / 2-アラキドノイルグリセロール / アナンダミド / Ca^<2+>チャネル / リゾホスファチジン酸 / アラキドン酸 / シナプトゾーム |
研究概要 |
2-アラキドノイルグリセロールは、我々のグループとイスラエルのMechoulamのグループによって1995年に見い出されたカンナビノイド受容体の内在性リガンドである。我々の最近の研究により、カンナビノイド受容体の真の内在性リガンドは2-アラキドノイルグリセロールであることが明らかになりつつある。今回は、2-アラキドノイルグリセロールの作用・代謝・生理的意義をより明らかにすることを目的として研究を行った。今年度の研究では、以下の結果をえた。 1.2-アラキドノイルグリセロールの代謝的に安定なアナログを複数開発した。今回新たに開発したものには、2-アラキドノイルグリセロールのエステル結合をケトン型に変えたものや、メチレン型に変えたもの、グリセロールのOH基とアラキドン酸のケト基を結合させて環状にしたアナログなどがある。これらはすでに開発したエーテル型のアナログに匹敵する活性があるので、今後の2-アラキドノイルグリセロールの生物活性を調べる研究において、有用なtoolになるものと考えられる。 2.脳シナプトゾームを脱分極させると、2-アラキドノイルグリセロールのレベルが速やかに上昇することを見い出した。2-アラキドノイルグリセロールの生成にはCa^<2+>の存在が必須であること、電位依存性Ca^<2+>チャネルブロッカーの存在下では脱分極に伴っておきる2-アラキドノイルグリセロールの生成が抑制を受けることから、脱分極の際の2-アラキドノイルグリセロールの生成には、電位依存性Ca^<2+>チャネルを介した細胞内へのCa^<2+>の流入が深く関与していると考えられた。 3.2-アラキドノイルグリセロールと構造が良く似ている2-アラキドノイル-グリセロ-3-リン酸が、脳に多量に含まれていることを見い出した。2-アラキドノイル-グリセロ-3-リン酸は2-アラキドノイルグリセロールと異なり、カンナビノイド受容体には作用せず、リゾホスファチジン酸受容体に作用する。しかし、この両者の間には代謝的に密接な関係があり、2-アラキドノイルグリセロールがリン酸化されると2-アラキドノイル-グリセロ-3-リン酸が生成し、逆に2-アラキドノイル-グリセロ-3-リン酸が脱リン酸化されると2-アラキドノイルグリセロールが生成することが脳ホモジネートを用いた実験により明らかとなった。
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