研究課題/領域番号 |
13672304
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
杉浦 隆之 帝京大学, 薬学部, 教授 (40130009)
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研究分担者 |
須原 義智 帝京大学, 薬学部, 助手 (30297171)
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 助手 (60234217)
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キーワード | カンナビノイド / 2-アラキドノイルグリセロール / HL-60細胞 / MAPキナーゼ / ケモカイン / CB2受容体 / 遊走 / マクロファージ |
研究概要 |
本年度は、炎症・免疫系の細胞における2-アラキドノイルグリセロールの意義を解明することを主な目的として研究を行い、以下の知見を得た。 カンナビノイドCB2受容体を発現しているHL-60細胞に2-アラキドノイルグリセロールを加えると、P42/44MAPキナーゼ、P38MAPキナーゼ等のMAPキナーゼの活性化が起きることを見い出した。次に、HL-60細胞におけるケモカイン産生に及ぼす2-アラキドノイルグリセロールの影響をさらに詳しく調べ、HL-60細胞に2-アラキドノイルグリセロールを加えると、IL-8やMCP-1などのケモカインの産生が増大することを見い出した。2-アラキドノイルグリセロールのケモカイン産生増強作用は、細胞をカンナビノイドCB2受容体のアンタゴニストであるSR144528で処理することにより抑制された。また、2-アラキドノイルグリセロールはLPSで刺激した細胞のケモカイン産生を大幅に増加させることも分かった。次に、マクロファージ様の細胞に分化させたHL-60細胞に2-アラキドノイルグリセロールを加えて遊走を引き起こすかどうかを調べた。その結果、2-アラキドノイルグリセロールはマクロファージ様に分化させた細胞を遊走させることが分かった。同様の結果は健常人の血液から分離した単球についても観察された。2-アラキドノイルグリセロールによる遊走は、細胞をSR144528や百日咳毒素で処理することによって完全に阻害された。CB2受容体アンタゴニストはin vivoで炎症反応や免疫を抑制することが知られているので、2-アラキドノイルグリセロールには炎症・免疫反応を促進するという重要な生理的役割がある可能性が考えられる。
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