研究概要 |
先に、我々はピリミジンヌクレオシド誘導体の催眠をはじめとする中枢抑制の発現機構がバルビツレート、ベンゾジアゼピン類とは異なることを明らかにしている。さらに近年、新たな薬理作用として、ウリジン誘導体の鎮痛作用についても報告した。そこで、本研究はピリミジンヌクレオシド誘導体の中で特に強い催眠作用を有するN3-フェナシルウリジンをモデル化合物として、ウリジン誘導体の構造活性相関及び受容体の精製を行い、以下の新知見を得た。 ウラシルN^1位にアラビノフラノシドを有するアラビノフラノシルウラシルのN^3位に置換基を導入した誘導体を合成し、催眠作用を検討した結果、o-,p-フルオロベンジル,o-,m-,p-クロロベンジル、o-,m-,p-ブロモベンジル,p-クロロフェナシル置換アラビノフラノシルウラシルは12 58分の睡眠作用を有した。ペントバルビタールとの併用効果においては,o-フルオロベンジル,o-,p-ブロモベンジル置換体がコントロールの各々2.5,2.5及び2.9倍の有意な睡眠延長作用を示した。以上の結果から,アラビノフラノシルウラシルN^3位のベンジル及びフェナシル基へのハロゲンの種類並びに導入位置により睡眠作用を修飾することが明らかとなった。また、Tail flick, Hot plate法によりN^3-(2',5'-ジメトキシフェナシル)ウリジン及び関連誘導体の鎮痛作用の検定を行った結果、P2レセプターアゴニストであるUMP, UDP, UTPとは異なる作用機構であることが推察された。 ウリジン受容体の分離と精製は、より親和性の高い画分を得る目的でアフィニティーカラムの作製を試みた。Affigel 102とN^3-フェナシルウリジン-6-カルボン酸をカルボジイミド試薬でカップリングさせて目的とするアフィニティーカラムクロマトグラムを調製した。
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