研究課題/領域番号 |
13672313
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
藤本 貞毅 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80090182)
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研究分担者 |
谷野 浩子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90298688)
長澤 一樹 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (30228001)
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キーワード | ホスホリパーゼC / アイソザイム / イノシトールリン脂質代謝 / 酸化ストレス / レドックスシグナル / ラット / 脳 / アルツハイマー |
研究概要 |
ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(Phospholipase C : PLC)は、イノシトールリン脂質の分解を伴う数々の細胞応答に関与する重要な酵素である。本酵素は大別して、β、γ、δ、ε型の4種のアイソザイムの存在が認められている。申請者らは、これまでに、PLC-δ1がアルツハイマー病(AD)脳において異常に蓄積していることを認め、ADの病態にイノシトールリン脂質代謝異常が絡んでいる可能性を示唆した。しかし、AD菌におけるPLC-δ1の異常蓄積の原因については不明である。本研究は、どのような環境下でPLC-δ1の異常蓄積が起るのかを追求し、PLC-δ1異常蓄積のもつ生理的意義を明らかにすることを目的としたものである。今回、100%酸素下で60時間飼育することにより酸化ストレスを負荷したラットの脳組織におけるPLCアイソザイムのタンパク質レベルを調べ、以下の結果を得た。 高酸素負荷ラットの脳においては、過酸化脂質量に変動は認められないものの、酸化ストレスの指標の1つである低分子量チロシンホスファターゼ活性が低下していた。このような脳の大脳皮質および海馬におけるPLC-δ1のタンパク質レベルならびに大脳皮質におけるPLC-β1のタンパク質レベルは有意に上昇するが、PLC-γ1については、いずれの組織でも変動しなかった。なお、この際、PLC-β1画分のPLC活性は上昇するものの、PLC-δ1画分のそれには変化がなかった。このように、脳内に酸化ストレスが生じることによりPLC-δ1のタンパク質レベルが上昇することを確認するとともに、酸化ストレスの程度によっては、PLC-δ1のみならず、PLC-β1のタンパク質レベルも上昇するが、これらPLC分子の触媒活性は、酸化ストレスの程度により影響を受けることが示唆された。
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