研究課題/領域番号 |
13672315
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00028870)
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研究分担者 |
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (30258107)
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (30248108)
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キーワード | アンデオテンシン / ブラジキニン / カリクレイン / アンジオテンシン受容体 / ブラジキニン受容体 / 高血圧 / 心不全 / 血管 |
研究概要 |
本研究は、心臓・血管系疾患でのレニン・アンジオテンシン系(RA系)とカリクレイン・キニン系(KK系)の接点を明らかにする目的で行われた。腹部大動脈狭窄後の高血圧負荷による心肥大が顕在化する前段階で、心筋のbradykinin B2受容体発現低下を認め、その発現下がangiotensin II (Ang II) AT1受容体遮断薬で解除された。高血圧負荷に置かれた心筋細胞でのB2受容体発現は、RA系活性化により非心筋細胞のAT1受容体を介して遊離する何らかの液性因子の仲介により、抑制的に制御されると考えられた。一方、血管での機能的KK系の存在についてヒト血管内皮細胞での組織カリクレイン産生を検討した結果、組織カリクレインの産生分泌を遺伝子、酸素活性、酵素蛋白の各レベルで証明し、更に内皮細胞へのACEI作用による細胞内cGMP増加が、内皮細胞由来の組織カリクレインにより産生されたキニンの分解阻止に基づくことを明らかにした。ラットの腹部大動脈狭窄モデルにおける胸部大動脈への圧負荷と、それによるRA系応答を調べた結果、Ang IIの2型受容体(AT2)発現が高血圧負荷に平行して胸部大動脈で増大することを認めた。このAT2受容体発現亢進は循環血中に増加したAng IIの大動脈AT1受容体への作用によることを証明するとともに、AT2受容体発現が亢進した大動脈では、Ang IIへの収縮応答に低下がみられ、このようなAT1受容体応答性低下が増加したAT2受容体を介した一酸化窒素/cGMP系活性化に基づくことを明らかにした。以上の結果は、RA系とKK系が心血管系疾患の病態において、密接に連携していることを示すものである。
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