研究課題/領域番号 |
13672316
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
吉田 雄三 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70085281)
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研究分担者 |
青山 由利 創価大学, 工学部, 助教授 (00158718)
工藤 万起子 武庫川女子大学, 薬学部, 助手
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キーワード | シトクロムP450 / CYP51 / ステロール合成酵素 / 発現調節機構 / ホルモン / 肝臓 / 卵巣 / 転写調節エレメント |
研究概要 |
ラットの肝臓と卵巣におけるCYP51発現に対するトリヨードチロニン、デキサメタゾン、ゴナドトロピン、インスリンの影響をCYP51mRNAレベルと酵素活性を指標にして検討した。実験は、産生臓器の摘出によるホルモン枯渇の影響とホルモン枯渇動物に対する各ホルモン投与の影響を解析する方法で行ない、トリヨードチロニンは肝臓、卵巣双方においてCYP51発現に促進的な役割を演じ、デキサメタゾンは逆に抑制的な作用を示すことを明らかにした。これに対して、インスリンは肝臓CYP51に対して促進的な作用を示したが卵巣CYP51の発現レベルには有意な影響が見られず、ゴナドトロピンは卵巣CYP51の発現のみを促進した。これらの事実から、CYP51の発現調節には肝臓と卵巣に共通する発現の促進と抑制の機構と臓器特異的な発現を調節する機構が協同して関与していることが明らかとなった。 免疫組織染色を利用して臓器内でのCYP51発現部位を解析し、ゴナドトロピンに依存した卵巣CYP51の発現部位が卵胞と黄体であることを明らかにした。この場合、ゴナドトロピンで誘導されたCYP51は、卵丘と卵胞腔に接する部分で相対的に高い発現を示し、この部分のCYP51がその直接の代謝物であるFF-MAS(ヒト卵胞液性減数分裂活性化ステロール)を蓄積させる機能をもつ可能性を強く示唆した。 ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター、ラット肝臓癌由来の培養細胞をホストとするCYP51遺伝子の発現調節解析系を構築した。この系を用いてCYP51遺伝子のプロモーター領域のトランケーションに伴うレポーター遺伝子発現レベルを解析し、ステロール代謝酵素遺伝子のプロモーター領域に広く存在する転写調節エレメントであるSREがCYP51遺伝子の転写に必要であり、このエレメントによるCYP51の発現がステロールによって抑制されることを見出した。
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