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2002 年度 実績報告書

分子生物学的手法とGFP分子可視化法の併用による受容体構造-機能相関の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13672319
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

中澤 憲一  国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (00198061)

キーワードATP / P2X受容体 / イオン・チャネル / 変異導入 / 構造-機能相関 / GFP分子可視化法
研究概要

ATP受容体チャネル(P2X受容体)の構造と機能の関係を探究する目的で,分子生物学的手法による変異導入(アミノ酸置換)を行ない,また,その発現状態を確認する目的でGFP分子可視化法を併用した.これまでの研究で,P2X2受容体タンパク質の細胞外領域のサブクラス間で保存性の高い並列したグリシン残基のうち,247番目のグリシンをアラニンに変えると受容体のイオン・チャネル活性が失われることを見い出している.この領域はtRNAアミノアシルシンチターゼのATP結合部位と構造が似ていると推定されている.tRNAアミノアシルシンチターゼでは,ATP分子のアデニン部分の認識に芳香族アミノ酸残基が関与するとされている.そこで,P2X2受容体のこのグリシン残基付近の保存性の高い芳香族アミノ酸残基である240番目のフェニルアラニンと256番目のトリプトファンに対してアミノ酸置換を行なった.その結果,256番目のトリプトファンがイオン・チャネル活性に必須であり,チロシンで置換した場合には活性が残るものの,他のアミノ酸では活性が完全に消失することが判明した.活性が認められない変異体の細胞膜上への発現はGFPを結合させた受容体の蛍光像および膜分画のウェスタンブロットにより確認された.よって,トリプトファンに対する置換は受容体タンパク質の翻訳あるいはトラフィッキングに影響するのではなく,膜上のタンパク質の構造を変化させるものであることが示唆された.以上の研究より,分子生物学的手法とGFP可視化法の併用が,受容体の構造-機能相関を解明する上で有用であることが示された.この他,チャネル開口部に存在する333番目に中性アミノ酸残基を導入した実験より,この部位のアミノ酸残基がカルシウムのチャネル孔への接近を立体障害的に妨害することを示した.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Nakazawa, K., Ojima, H.Ohno, Y.: "A highly conserved tryptophane residue indispensable for cloned rat neuronal P2X receptor activation"Neuroscience Letters. 324. 141-144 (2002)

  • [文献書誌] Sato, K., Matsuki, N., Ohno, Y., Nakazawa, K.: "Effects of 17beta-estradiol and xenoestrogens on the neuronal survival in the organotypic hippocampal culture"Neuroendocrinology. 76. 223-234 (2002)

  • [文献書誌] Nakazawa, K., Sawa, H., Ojima, H., Ishii-Nozawa, R., Takeuchi, K., Ohno, Y.: "Size of side-chain at channel pore mouth affects Ca^<2+> block of P2X_2 receptor"Eur. J. Pharmacol.. 449. 207-211 (2002)

  • [文献書誌] Koizumi, S., Saito, Y., Nakazawa, K., Nakajima, K., Sawada, J.I., Kohsaka, S., Illes, P., Inoue K.: "Spatial and temporal aspects of Ca^<2+> signaling mediated by P2Y receptors in cultured rat hippocampal astrocytes"Life Sciences. 72. 431-442 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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