研究概要 |
マクロCALIを用いた組織レベルでのレーザー分子機能不活化法の確立 本研究では初めに,疎水性クロモフォアであるマラカイトグリーンを結合させた標的高親和性CALI用高機能性分子MGIP_3を合成した.続いて,モルモットの平滑筋組織を用いて組織レベルでのCALI(マクロCALIと呼ばれる)を行い,MGIP_3が有効に機能するか検討した.レーザーにはNd : YAG-色素レーザー(パワー15mJ, f3mm)を用い,光学系を組み立てることで組織断片に効率的に光照射できるように実験系を作成した.膜透過性に処理した平滑筋組織にMGIP_3を添加しレーザーを照射すると,IP_3受容体からのCa^<2+>放出が抑制された.Ca^<2+>放出能は照射前後における活性を蛍光プローブを用いて測定した.この抑制はレーザー照射時間およびMGIP_3の濃度に依存して変化した.また,MGIP_3の光学異性体やマラカイトグリーンを添加してレーザーを照射してもこの抑制はみられなかった.以上の実験から,CALI用高機能性分子MGIP_3を用いたCALIにより,IP_3受容体を組織レベルで特異的に不活性化できることが示され,細胞内情報伝達系におけるCa^<2+>の時間と場所による役割の違いを詳細に解明していくことができると考えられる.また,本研究は合成小分子がCALI用プローブとして機能しうることをはじめて示した例である.
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