研究課題/領域番号 |
13672337
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研究機関 | 放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
伊古田 暢夫 放射線医学総合研究所, レドックス制御研究グループ, グループリーダー (80159649)
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研究分担者 |
中川 秀彦 放射線医学総合研究所, レドックス制御研究グループ, 主任研究員 (80281674)
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キーワード | 酸化ストレス / 活性酸素 / 活性窒素 / スーパーオキシド / ヒドロキシルラジカル / パーオキシナイトライト / DMPO / レドックス制御 |
研究概要 |
生体が放射線や有害物質などの外的要因や、低酸素状態(虚血)などの内的要因によるストレスに曝されると活性酸素・活性窒素・フリーラジカルが生成する。それらは、スーパーオキシド、過酸化水素、およびヒドロキシルラジカルである。通常は生体の制御システムにより消去されるため恒常性が維持されている。酸化的ストレスは生体内で発生する活性酸素や活性窒素の消去が不充分な時に生じる。またアルギニンから生成する一酸化窒素は、血圧調節など重要な生理作用を示すが、一酸化窒素とスーパーオキシドからパーオキシナイトライトのような活性窒素種が生成し、酸化ストレス要因となる、活性酸素、活性窒素による生体成分の損傷は、DNAには、塩基の酸化や鎖の切断、蛋白質には、酸化やニトロ化による不活性化、脂質には過酸化であり、これらが蓄積するとゲノム異常、発がんや老化などの種々の疾患が生じる。これに対して、レドックス制御とは(レドックスは酸化還元(reduction-Oxidation、またはoxidoreduction)のこと)、生体の酸化還元状態を制御することによって酸化ストレスから生体を守ることであり、本研究では、種々の活性酸素種(スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル)、活性窒素種(パーオキシナイトライト)の消去化合物を探索した。それらの消去能はそれぞれ電子スピン共鳴法によるスピントラッピング法、チロシンのニトロ化を指標に高速液体クロマトグラフィーを用いて評価した。また致死量の放射線に対する防護能を調べるためマウスに8Gyの放射線を照射して30日間の生存率を調べ防護能を調べた。今回用いた抗酸化剤は、水溶性キトサン、5-メトキシトリプタミン誘導体、カルコン誘導体、アップルフェノン(りんご抽出物、ポリフェノール混合物)、TMG(水溶性ピタミンE)である。これらのなかで水溶性キトサン、5-メトキシトリプタミン誘導体のスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、パーオキシナイトライトに対する消去作用はあまり強くはなかった。一方カルコン誘導体、アップルフェノン、TMGは強い消去作用があることがこれまでにわかっていた。そこでこれらの化合物の放射線に対する防護作用を見るためカルコン誘導体、アップルフェノン、TMGを照射30分前に300mg/Kgをマウスにip投与し、放射線照射後30日間の生存率を調べた。その結果、カルコン誘導体とTMGには防護効果がほとんど無く、アップルフェノンはコントロール(0%)に対して30%と中程度の防護効果があった。
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