エンジイン抗生物質は、エンジイン骨格のバーグマン環化反応により生成するビラジカルがDNAを切断し、抗腫瘍活性を示すことが知られている。エンジイン抗腫瘍剤を開発する上で重要なことは、生体内の望む場所でバーグマン環化反応を起こすような活性化機構(トリガー)を設計することである、当研究者らは、エンジインの新規骨格やトリガーを設計することを目的とし、エンジイン化合物の合成を行ってきた。その中で、新規骨格のエンジイン化合物において、水酸基のシリル保護基の有無により安定性が変わることを見いだした。また、このエンジイン化合物は37℃で強いDNA切断活性を示した。これは、かさ高いシリル基がバーグマン環化反応の遷移状態のエネルギーを高めているために、環化が起こらず、シリル基を除去すると、遷移状態のエネルギーが低下し環化が進行すると考えられる。この知見を基にして、本年度は、このエンジイン分子が光りによって、分解が速まることを確認した。
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