研究概要 |
アレルギー性接触皮膚炎の誘発性物質を検出できるin vitroアッセイ法を構築する目的で、本年度はアッセイにおける有効な評価指標の選定を主に検討した。アレルギー性皮膚炎の発症には、表皮構成細胞の大部分を占めるケラチノサイトと抗原呈示を行うランゲルハンス細胞が重要な役割を果たすことから、それぞれの株細胞NCE16、HaCaT及びELD-1を用いて、既知のアレルギー性皮膚炎誘発性物質(DNCB,NiSO_4等)とアレルギー反応を起こさない物質(BC,SLS)とを作用させ、細胞の免疫応答に関わる因子の変動を比較検討した。ケラチノサイトのNCE16では種々の炎症反応のきっかけとなることが知られているサイトカインIL-1αの分泌が、非アレルギー性物質に比べアレルギー誘発性物質でより亢進されること、また皮膚免疫担当細胞の遊走、活性化に関与するケモカインTARC、MIP-3αmRNAの発現が、アレルギー誘発性物質によって誘導されることが両細胞株でみられた。一方ランゲルハンス細胞のELD-1ではアレルギー誘発性物質によってサイトカインIL-6の分泌がより亢進したこと、およびランゲルハンス細胞の成熟活性化に伴って出現するケモカインレセプターCCR7mRNAの誘導がアレルギー誘発性物質の曝露によってみられた。従って今回用いた細胞株でこれらの要因を評価指標とすることにより、アレルギー誘発性を有する物質のスクリーニングが可能なことが示唆された。今後さらにこれらの指標の有効性、特異性を検討し、各種試料への応用を試みる予定である。
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