この研究は、遠隔医学・医療支援システムの一環として、すでに導入した遠隔診断システム、H14年に実稼働した遠隔ケア支援システムと並行して行われた。 初年度(H13)は、まず、医療用静止画データベースを開発、構築した。ネットワークは、従来のISDN回線を充当することにした。導入したデータベースサーバのハードウェアのスペックは、CPU Pentium III 1.OGHz、メモリ128MB、HD容量は20GBであり、OSはWindows NT4.0とした。具体的には、医療用静止画像をフィルムの状態ではスキャナに加工し、本院のデジタル画像参照システムにある画像では、ダウンロードして登録することとし、アプリケーションを開発した。登録用アプリケーションには、患者情報として氏名、ID、診療科、主訴、病名を、画像情報として、画像・モダリティ種類、画像診断のポイント、症例のコメント、半角10文字アルファベットの検索キーをリストから入力あるいはフリーテキストで入力することとし、Web参照時には患者情報が秘匿されるような設計とした。この時点では、ISDNを使っており、画像容量が制限され、動画転送に反面、専用回線のため、ネットワークセキュリティが確保されていた。また、アクセスコントロールレベルを管理者、画像の登録が可能な登録者、閲覧のみ可能な読者とした。 次年度(H14)には、本学へのBフレッツ開通と併せて、Webサーバとデータベースサーバの分離および動画対応を行った。ネットワーク構成が変化したため、セキュリティに対しての配慮も必要となった。Webサーバは、F/Wの外部に設置するグローバルIPを持つDMZ(Demilitarized Zone)サーバとした。ISDN経由、インターネット経由両者からアクセスを可能とするために、Bフレッツ用ルータにはグローバルIPを採番し、これを経由してインターネットからアクセスを可能とする設計とした。動画のサムネールを生成する際に困難があったが、フリーソフト(QuickTime)で動画の先頭部分をキャプチャーすることが可能となり、安価に静止画と同様にセムネール表示が可能となった。さらに、Webで表示された画像の二次加工を防止するために、htmlファイルを暗号化するソフトウェア(別研究費による)を導入した。また、検索キーを漢字対応とした。 以上の研究開発により、ブロードバンド経由で医療用静止画、および動画像のインターネット参照が可能となり、卒前・卒後の遠隔医学教育に有用なシステムが構築されたと結論された。
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