研究概要 |
MDS-HCをはじめとする従来のアセスメント方式は,ケアニーズを抽出する点では優れていたが,具体的なケア計画を立てるのが難しいという欠点があった.「フローチャート方式によるケアプランの立て方(鎌田ケイ子編著,高齢者ケア出版)」はこの点を改良したもので,高齢者の心身状況を評価した後,プローチャートを辿ることにより,標準的なケアメニューを導き出せるようになっている.そこで,「在宅用フローチャート式ケアプランの立て方」のアセスメント項目と,介護保険の基本調査項目のすり合わせを行ない,基本調査項目の選定状況からケアニーズを直接導き出し,標準的なケアメニューを自動的に呈示するシステムを構築することとした. 本年度は,平成15年4月から基本調査項目が79項目に改定されるのを受けて,まず新しい基本調査項目のデータセットから,要介護度を自動判定(一次判定)するプログラムを作成した.データベースソフトのFileMaker Pro6.0を用いて作成したプログラムは,約500項目の入力フィールドから成り,ファイルサイズは約600KBとなった.2002年秋に施行された改訂版基本調査のモデル事業において本プログラムを使用したところ,入力は迅速になされ,一次判定結果は入力後瞬時に得られた. 現在,ADL, IADL,排泄,痴呆,精神・社会生活,食事・栄養,褥創,疾患管理,介護支援のそれぞれの項目において,課題(ケアニーズ)を,基本調査項目から推定するプログラムを作成している.基本調査項目は,プローチャート方式のアセスメント項目に比べると数が少ないため,障害をもつ高齢者の心身状況を適切に評価するのは難しい.しかし,基本調査項目を組み合わせることにより,この点を補おうと考えている.
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