研究概要 |
介護保険制度では、認定調査により高齢者の心身状況を評価(基本調査)し、それに基づいて要介護認定を行う。要介護度が決定された後、ふたたびケアニーズを抽出するためのアセスメントを行い、ケアプランを策定する。しかし、本アセスメントは実施されることは少なく、ケアニーズは把握されないまま、介護サービスが利用限度額内で適当に割り振られているのが実情である。たとえMDSなどのアセスメントツールで評価されても、その情報がケアプラン作成には活かされにくい。それは、MDSを代表とするこれらの方式は、個々の高齢者のケアニーズを抽出するという点では優れているが,実際のケアプランが立てにくいという欠点をもっているからである。高齢者ケア協会が作成した「フローチャート式ケアプランの立て方(鎌田ケイ子編著,高齢者ケア出版)」は,この点を改良したもので,高齢者の障害状況をたどることにより,具体的なケア内容が提示されるようになっている. そこで今回、基本調査項目とフローチャート式の評価項目の擦り合わせを行い、基本調査データから直接ケアニーズを抽出し、標準的ケアが自動的に提示されるプログラムを開発した(基本調査ケアプランプログラム)。また、MDSについても同様に、「フローチャート式」と組み合わせ、MDSの選定状況から標準的なケア内容を自動的に導き出せるようにした(MDSケアプラシプログラム)。 前者を用いると、一度の訪問調査で、要介護度判定から提供すべき介護サービスまでが提示可能となる。また,後者を使用すれば,アセスメント後のケアプラン作成を容易にすることができる。これら二つのプログラムを使用することにより、ケアマネジメントの迅速化、効率化、標準化を図ることができる。
|