本研究は、先行研究により求めた、外来患者が同一医療機関を継続して受診することにより外来患者数が増加する現象が、どの医療施設にも存在することを実証的に研究し、その結果を今後の病診連携機能のあり方に応用することを目的とする。 筆者は外来に長年にわたり連続して受療する患者として、「継続患者」の考えを提案した。そして新規の外来患者属性として「患者登録年度」を定義し、大学病院での初回の受診からの年数経過と患者数変化を検討した。その結果、新規登録患者が翌年以降も受診して「継続患者」となり、その「継続患者」の数が累積して全体の外来患者数が増加することを解明した。 本研究では、この大学病院における調査を発展させ、各種の医療施設によりこの既存患者の性質がどのように異なるかを目的とした。当初は、各種病院に協力を求め、その診療録から患者登録年度の特性を求める予定であったが、種々の利用で協力が得られず、薬局の協力を得て処方箋から継続受診患者の特性を求めた。その結果、以下の4種類の解析を行った。1:都内大学病院における継続受診患者の特性解析、2:院外処方箋からの神奈川県O病院の継続受診特性の解析、3:院外処方箋からの各種医療機関の継続受診特性の解析、4:継続受診患者の特性の患者特性解析への応用 解析の結果、診療科による継続受診患者の特性を求めた。そしてそれらを参考にし、病院、診療所がどのような患者を対象とすると経営上有利であるかという観点よりの検討を行った。本報告は医療施設外の処方箋から医療機関の患者動向を推測できる新しい技法とも位置づけられる。
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