昨年度から作成し続けているフクチン特異的抗体は、動物細胞に強制発現させたフクチンと反応するものがいくつか得られたが、内在性のフクチンを検出させることはできなかった。近年の我々の研究などから、フクチンは糖鎖修飾酵素ではないかと推測しており、抗体による内在性蛋白の検出ができないのは、多くの既知の糖転移酵素と同様、内在性フクチンはごく微量しかないからと考えられた。すなわちフクチン抗体を用いた解析は困難であることがわかった。一方、強制発現細胞の免疫組織染色よりゴルジ体に存在することがわかり、糖転移酵素である可能性と矛盾しない結果を得た。 FCMD患者において、随時遺伝子変異を検索している。発症原因と考えられるいくつかの突然変異を新たに発見することができた。 フクチン融合蛋白を用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより質量分析法などを用いてフクチン結合蛋白の同定を試みている。いくつか候補になる蛋白を得たが、実際に結合している蛋白であるかどうか確認作業中である。一方で、糖転移酵素としてのフクチンのターゲット蛋白と、形成している可能性のある複合体のパートナーの同定へ向け、免疫沈降法、two-hybrid法を用いて、現在検索中である。 3.非翻訳領域にレトロトランスポゾンを組み込んだノックインマウスを作成中である。コンストラクト作成は終了し、ES細胞への導入、スクリーニングを現在行っている。
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