Wister系優性ラットにセントジョンズワート1000mg/kg/dayを24時間毎に7日間繰り返し経口投与し、最終投与24時間後にミダゾラム10mg/kgを経口投与して経時的に採血し、ミダゾラム濃度を測定した。血漿中濃度推移はモデル非依存的方法で解析した。セントジョンズワート投与1日目より血漿中ミダゾラム濃度が低下する傾向が検出され、3日後、7日後ではミダゾラムの全身クリアランスが投与前と比べて有意に増大した。 クリアランスの増大の原因を同定するため、セントジョンズワートを繰り返し投与したラットの肝ミクロソーム分画によるミダゾラム代謝活性をin vitroで測定した。ミダゾラム代謝のVmaxはセントジョンズワート投与により有意に増大しており、酵素の誘導が確認できた。 また、市販のラズベリーケトン製剤を12時間毎に7日間繰り返し投与し、同様に血漿中ミダゾラム濃度を測定した。セントジョンズワート投与群では血漿中ミダゾラム濃度が有意に低下したが、ラズベリーケトン処理群と対照群ではミダゾラムの体内動態に有意な差は認められず、ラズベリーケトン製剤はミダゾラム代謝酵素の発現に影響を及ぼさないことが示唆された。 さらに、健康女性がラズベリーケトン製剤を7日間連続服用した場合のCYP3A活性を、尿中ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比を指標として検討した。20歳以上35歳以下の健康女性を対象として、月経終了から排卵日までの間にラズベリーケトンを7日間服用させ、尿中ヒドロキシコルチゾール/コルチゾール比を測定して非服用時と比較した。ラズベリーケトン製剤によりCYP3A活性は変化しておらず、経口避妊薬の効果に影響を与える可能性は低いと考えられた。この結果は動物実験の結果と一致している。
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