研究課題/領域番号 |
13672384
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
橋本 征也 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90228429)
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研究分担者 |
田口 雅登 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20324056)
合葉 哲也 富山医科薬科大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00231754)
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キーワード | タクロスリム / 腎障害 / バイオアベイラビリティ / CYP3A / 小腸 / 初回通過効果 |
研究概要 |
免役抑制薬タクロリムスについては、腎移植時など腎機能が低下した患者にも投与されるが、腎排泄を殆ど受けないことから、腎障害時の体内動態については全く検討がなされていなかった。申請者らは、シスプラチン誘発腎障害モデルラットを用いて、タクロリムスの体内動態を検討した。タクロリムス経口投与時の血中濃度は腎障害群で約2倍に上昇し、バイオアベイラビリティの有意な増加が観察された。その要因については肝代謝能が軽度に低下することに加え、小腸吸収過程の変動が関与することが明らかとなった。すなわち、タクロリムスの肝初回通過代謝には飽和性があるため、小腸吸収速度の増大に伴い肝抽出率が低下し、バイオアベイラビリティが上昇することが明らかになった。一方、タクロリムスの小腸における代謝は、腎障害時に変動しないため、バイオアベイラビリティの上昇には関与していないものと考えられた。 さらに、腎機能低下時における肝臓と小腸の初回通過代謝を系統的に検討するため、4種類の腎障害モデル(部分腎切除、グリセロール誘発、シスプラチン誘発、尿管結紮)ラットを用いてCYP3A分子種の代謝能の変動を評価した。腎障害時におけるCYP3A分子種の肝代謝活性には低下傾向が認められ、腎障害の発生機序によっては重度の低下が起こることが明らかになった。また、腎機能低下における小腸代謝能の変動についてはこれまで殆ど情報がなかったが、何れの腎障害モデルにおいてもCYP3A代謝能には有意な変動は認められず、肝臓と小腸のCYP3A分子種は異なる発現制御を受けているものと考えられた。
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