研究課題/領域番号 |
13672385
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 康央 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50263306)
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研究分担者 |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
真弓 忠範 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00098485)
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キーワード | バイオコンジュゲーション / DDS / 修飾部位制御 / サイトカイン / ポリエチレングリコール / プロテオーム創薬 |
研究概要 |
現在蛋白質に対するDDSとして最も期待されるバイオコンジュゲーションはランダムに蛋白質中のアミノ基へ高分子導入するものであり、活性発現に重要なリジン残基まで修飾されてしまうため、必然的に活性低下を招いてしまう。本観点から、腫瘍壊死因子(TNF-α)やIL-6をモデルとして用い、上記問題を改善できる方法論の確立を図った。TNF-αは、分子内に6個のリジン残基を有しており、なかでも、Lys11が三量体形成や立体構造の維持に、Lys90がレセプター結合に重要な役割を担っている。そこでまず修飾部位を制御するために、pH可逆的なアミノ基保護試薬DMMAnを用いた修飾部位制御法の開発を試みた。本方法では、活性発現に重要な役割を果たしているLys11やLys90がTNF-α分子表面に存在し、立体的に最も外側に配位していることから、予めこれらのアミノ基をDMMAnで保護しておいた後、残存するアミノ基に対して高分子導入し、その後再びDMMAnを解離させるものである。バイオコンジュゲーションは片末端型PEGおよびペンダント型DIVEMAを用いて行った。その結果いずれの修飾高分子を用いた場合でも、従来法で作製したバイオコンジュゲート体と比較して、DMMAnを用いることで、比活性の大幅な改善が認められた。これらバイオコンジュゲート体の抗腫瘍効果を検討した結果、副作用を呈することなく、抗腫瘍効果のみが百倍以上にも向上していた。この事実は、DMMAnによって修飾部位を制御し、比活性を改善することによって、in vivoにおける治療作用を効率よく引き出せることを示している。従って、これまでバイオコンジュゲーションによって、その作用を引き出し得なかった蛋白質に対しても、修飾部位を制御し比活性低下を改善することにより、有効性と安全性に優れたバイオコンジュゲート化蛋白質が創出し得るものと考えられた。
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