研究課題/領域番号 |
13672392
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高濱 和夫 熊本大学, 薬学部, 教授 (80150548)
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研究分担者 |
田中 英明 熊本大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90106906)
白崎 哲哉 熊本大学, 薬学部, 助教授 (30264047)
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キーワード | 排尿反射 / グリシン受容体 / 中脳水道周囲灰白質 / FOS蛋白質 / DiI / 多連微小ピペット / ラット / デキストロメトルファン |
研究概要 |
昨年度までに、強力なグリシン受容体ブロック作用をもつデキストロメロルファン(DM)は、排尿潜時の延長、尿道抵抗の上昇など、排尿反射を抑制すること、一方、グリシンのプロドラッグのZ-グリシナミドは、排尿潜時の短縮、排尿閾値の低下、排尿流速の低下などをもたらし、排尿反射に促進的な影響を与えることを明らかにした。そこで本年度は、排尿反射の中枢内伝達機序におけるグリシン受容体関与の有無について、多連微小ピペットを用いる脳実質内への微量注入法を用いて追究するとともに、DMの排尿反射抑制作用の作用部位にっいてもFOS蛋白質の発現を指標にして検討した。【実験成績】1.小脳下延髄槽へのグリシン9μgの注入は排尿反射に影響を与えなかった。2.ラットの中脳水道周囲灰白質(PAG)の中で尾側部(Bragema、-8300μm〜-8800μm)へのグリシンの微量注入(3μg/45nl)は最大膀胱内圧の上昇、排尿閾値の低下、排尿潜時の短縮、膀胱コンプライアンスの増加など排尿反射を促進する作用を示した。3.同じPAGの中で吻側部(Bregma、-6800μm〜-8300μm)へのグリシンの注入は排尿反射にほとんど影響を与えなかった。4.RT-PCR法で検討した結果、PAGの全領域にわたって、グリシン受容体αサブユニットのmRNAが発現していた。5.PAG尾側部へのDiIの注入によるトレース実験の結果、そこから、従来の排尿反射関連核への投射の他に、最後野、中脳のMe5領域など投射していることがわかった。6.膀胱内への酢酸溶液の注入により、排尿反射核のバリントン核や青斑核および延髄孤束核に比較的強いFOS蛋白質の発現が、また、迷走神経背側核や仙髄の副交感神経核にもその発現が認められた。7.DMは上記のFOS発現の中で、バリントン核など排尿反射関連核においてその発現を強く抑制した。
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